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家庭料理

<米作の原風景を求めて ~少数民族と棚田~8>

旅行期間:2013/12/28~2013/01/04

2時間ほど歩くとさすがにお腹が空いてきた。村まではまだまだ歩くようなので、売店で腹つなぎにパンを買ってくれた。ここまでに消費したカロリーをこのパンで取り戻せただろうか。この売店に寄った本来の目的は、食材を購入すること。豆腐とトマトを炒めたものを作ってくれるんだとか。

再び歩くこと2時間、ネーちゃん&スーちゃんの村に到着。そのままお家に案内された。家族の子供達との挨拶もそこそこに早速食事の支度をしてくれるネーちゃん達。サパからここまでずっと歩いてきたのに元気だ。出来上がった料理を皆で食べる。一家団欒というやつだ。

子供達は食べ終えてお腹が膨らむと興味を無くしたのかテレビの前へ。そう、ネーちゃん家には立派なテレビがあるのだ。侮れない。しばしゆっくり過ごした後、ネーちゃんがバイタクの準備ができたと呼びに来た。そう、既に夕方になっていたのだ。午後はずっと歩いていたことになる。ネーちゃんに連れられ村を散策。ホームステイも勧められたのだが、既に宿にチェックイン済なので帰ることにした。そうでなければここに一泊して別の村を訪問するというのもやってみたいことではあったな。

あたりを歩いていると日本人旅行者と偶然出会った。彼は仕事を辞め、長期で海外放浪を始めたばかりだと言う。今日はサパからぶらりと歩いてこの村までやってきて、民家で1泊するらしい。時間さえあれば俺もそのようなスタイルで人々の生活に触れながら旅を続けたいものなのだが短期旅行なので仕方ない。

バイタクに乗り、サパの町まで戻った。4時間かけて歩いた距離をバイクに乗り20分で戻るのは何とも味気ないものだ。かと言って登り坂を4時間以上かけて戻る気にはならないが。

サパの町に戻ってしたことは翌日のトレッキングツアーのチェック。ネーちゃんに別の村へのガイドをすると言われていたが、もし遥かに安い価格でトレッキングツアーに参加できるのであれば、そちらを選びたかったのだ。中心部の旅行会社に入って確認したが、ちょうど8人もの参加者が集まっているようだ。価格を尋ねると15ドルとのこと。サパからのトレッキングツアーは何か所か行き先があってタヴァンへは最も多くの観光客が参加するのだ。つまり一般的だということ。俺は事前にWebで写真を見て調べた限りではタフィン方面へのトレッキングにより魅力を感じていたのだが、コストが段違いなのである。プライベートツアーの場合、タヴァンでも46ドル、タフィンだと60ドルかかる。それがグループツアーに参加すればタヴァン行きが15ドルになるのだ。もちろん価格差以上のものが見られるのであればともかく、内容に価格差以上の差はないと考えた。当日の朝でも申し込みは可能と言っていたので、念の為に宿に戻って確認することにした。15ドルという価格を持ち帰ってみてそれより安いようなら宿で申し込む。下がらないようであれば明日の朝に旅行会社で申し込めば良いのだ。

いずれにしてもコックリ―のマーケットやスーちゃんにまたトレッキングガイドを頼む線は消えた。タヴァンへのグループトレッキングツアーに参加することに決めたのだ。宿に戻り、この話をすると朝薦めてくれたタヴァンへのツアーはどうやら旅行会社で聞いたのと同じものだったようだ。何より13ドルで良いというので参加を申し込んだ。併せて、明日のサパからラオカイへのミニバスも手配してもらった。いずれも宿でピックアップとのこと。

夕方にランチを食べたので、夕飯はどうしようかと思案していると、宿の主人から夕飯を一緒に食べようという提案があった。面白そうなお誘いに乗らない手はない。夕方にたらふく食べたのであまり空腹ではなかったが二つ返事で快諾した。

18:30開始の食事会だが、参加者はHostelを運営している家族(主人、おかみ、親戚?)とハノイから新婚旅行に来ていたベトナム人若夫婦と俺だった。新婚旅行でどの程度休めるのか訊いてみたが、2日だけ。土日と併せて4日の行程だそうだ。日本では休暇の取得が難しいことが問題視されているが、アジアでも同様らしい。少なくとも欧州のように毎年バカンスで3週間あるいは4週間の休暇を取得、という風にはいかないようだ。実際のところ、年末年始が休みになる国は少ない。キリスト教圏ではクリスマス休暇がメインなのでそのまま年始まで休暇になるケースは多いが、新年も元日が祝日になるだけで2日から仕事を再開するのが一般的だ。彼らは明日ハノイに帰ると言っていた。新郎も新婦も素朴で親切な人柄で好感を抱いた。

こういうものが旅の出会いなんだと思う。そしてベトナムもまた儒教の影響を受けているのだと実感する食事会だった。特にハノイをはじめとする北部は中国文化の色濃い地域であるが食事の場でも自己紹介の際に年齢を確認して主人が「俺の方が年長者だ」というような事を俺に言ってきたのだ。

その一方で彼は「俺は中国が嫌いだ」と語った。そして「もし攻めてきたらベトナムと日本と米国でやっつけるんだ!」と続けた。このあたり日本にいるような昭和のおやじそのものである。ベトナムは意外に米国を好きな人が多い、というのは耳にしていたが、ベトナム戦争の事はどう考えているのだろうか。枯葉剤を撒かれたり、その影響で“ベトちゃんドクちゃん”のような奇形児が数多く生まれることになったこと。今でも約100万人もの人間がその影響による健康被害を被っていること。そういった事実について尋ねたい衝動に駆られたがお酒を大量に飲んで(飲まされて)気持ちよくなっていたので堅い話をする気は失せた。

明日はトレッキングツアーが8時にピックアップなので、6時半に起きて荷物をまとめ、7時から朝食、チェックアウトを済ませてピックアップを待とう。予定がどんどん決まっていくのはなかなか気分の良いもの。外気はかなり冷たかったが、ベッドは電気毛布で暖かいので寒さに震えることなく眠れた。

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