<米作の原風景を求めて ~少数民族と棚田~5>
旅行期間:2013/12/28~2013/01/04
ホアルーでは古都とは言うものの見どころは寺が2つあるだけだ。タムコックに向けてのウォーミングアップみたいなものだな。教会やモスクと違ってあまり観光意欲が湧かないのでフンフンと眺めて周った。
タムコックへ行く前に食事休憩。ここでは他のツアー客も全て同じレストランへ集まってきた。他に選択肢がないのだろう、仕方ない。それにしても他のツアーも合計すると100名程の観光客がこのレストランに集まっていた。ハイシーズンということもあるが、ベトナムの観光客の多さを実感。レストランはビュッフェ、天敵だ。ビュッフェだと貧乏性の俺はついついお腹いっぱい食べてしまう。カロリー摂取過多になる。
ここで1人参加の俺はオーストラリアからの夫婦と相席になった。話してみたところ、ご婦人の方はチリのプンタ・アレーナス出身だという。高校時代にオーストラリアから来ていた旦那さんと知り合いそのまま結婚したとのこと。現在はシドニー在住だ。彼女はKarenと言う。南米を旅したことがある、と話すと嬉しそうにスペイン語で話しかけてくるKaren。なぜか始まるスペイン語会話、旅人にありがちな展開だ。そしてチリ人とはやはり相性が良い。同様にスペイン人やイラン人とも相性は良いのだが。なぜか相性が良い国というものはある。
このあたりになると参加者同士馴染んできて会話も弾むようになっていた。食事を終え、メインイベントのタムコックボートツアーが始まろうとしていた。1人参加の俺は3人組の男子の1人とセットでボートに乗ることになった。彼はオーストラリア人でパースの出身だという。ベトナム旅行の後、一旦オーストラリアに戻り、その後は日本に来るのだという。日本では白馬でスキーをしてから東京を訪れるらしい。
そして事前にチェックした旅行記によると、このボート上でのお土産物の商売攻勢が凄いのだとか。密かに覚悟を決めていた。このタムコックのボートツアー、景観は陸のハロン湾とよく形容される。そのハロン湾は海の桂林と形容されるのだが、桂林ほどのダイナミックさはないようだ。というより桂林を訪れたことがないので比較できない。写真で見る限りでは桂林をスケールダウンさせた感じか。しかしながら奇岩がニョキニョキ生えている様はなかなかに楽しめた。ボートに乗って奥まで45分、折り返しての戻りを入れると90分。適度な時間ではないかと思う。確かにそれ以上長くても飽きるし、短くても物足りない。折り返し地点の少し手前にボートに乗って食べ物やら飲み物やらお土産を販売する人達が待ち構えている。ハノイでも旅行者を見かけると売り込んでくるハノイのおばちゃん達をよく目にしたが、本当に商魂逞しい。
こういうおばちゃん達が家計を支えているわけだな。近代になって「女性の地位向上」などというフレーズが一人歩きしているけど、農耕社会においては元々女性の社会的地位は高かった。ベトナムの社会・経済についてはあまり造詣が深くはないのだが、なかなかに女性が強い社会なのではないかと感じた。印象的だったのは、ボートの漕ぎ手に女性(おばちゃん)が多いことなのだが助手として5、6歳の女の子を乗せて漕がせていたことだった。折り返し地点を過ぎてボート上でお土産販売になったのだが、漕ぎ手のお母さんが娘(と思われる)に「ホラ、しっかり売りなさい!」と発破をかけていたのが強く印象に残った。小物入れをお土産として購入したが、それとは別にチップの要求も。チップそのものは相場として1ドル渡すようなので(ガイドのSonもそう説明していた)渡したが、案の定「これじゃ、少ないよ!」と言ってきたので「お土産買ったやろ?」と返したら笑って諦めた。商魂逞しいな、とは思ったもののこの程度ならば可愛いものだ。ただ、惜しむらくはベトナムの小物(雑貨)の質はあまり良くないことだ。縫製に乱れが目立つし、線も曲がっている。後で訪れるサパでも同様だったのでベトナム自体のクオリティがそんなに高くないのかもしれない。