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トレッキングを終えて

<米作の原風景を求めて ~少数民族と棚田~10>

旅行期間:2013/12/28~2013/01/04

本格的にトレッキングを始めて3時間が経過しただろうか。目的地のラオチャイ村に到着した。

ここラオチャイ村は黒モン族の村なのだが、すぐ隣接した所に赤ザオ族の村タヴァンがある。そこからバンに乗ってサパまで一気に戻るのだ。トレッキングツアーの参加者が昼食を取るレストランに連れて来られたのだが、この瞬間から自主ガイドの黒モン族達が“発情”(お土産売り込みモード)し始めた。落ち着いてご飯を食べたかったので、食事の後でね、と言って引き下がらせた。

食事はベトナム料理だ。先日のホアルー・タムコックのようにビュッフェスタイルではなく、量も質もそこそこといったところか。食事中、同じテーブルにはスウェーデンからの初老の夫婦が座ったので歓談を楽しむ。スウェーデン人旅行者とは至る所で会う。ドイツ人の旅行好きは有名だが、スウェーデン人もまたかなり旅行が好きな国民性と言えるのではないか。お互いの旅の話やベトナムの感想から始まり、福島の原発問題についても訊かれた。2012年に長期旅行をしていた際によく訊かれたものだが、今の今でも訊かれるのだ。2020年に東京での五輪開催が決定し、やはり気になるところなのだろう。

実際のところどうなんだ?と訊かれたので、いつものように回答した。

「政府は大丈夫だと言っている。だが、問題は依然として続いている。」

汚染水の流出は今なお現在進行形なのだ。すると彼らは

「チェルノブイリの時と同じだ。あの時も政府は大丈夫だと言って問題を隠し、結果的にヨーロッパで多くの健康問題が起きた。」

と言ってきた。政府というものはどこの国も問題を隠ぺいし、その結果、一般市民が被害者となるものなのだ。彼らスウェーデン人夫婦は今日はホームステイをするらしい。ここへ来る途中、ランちゃんがホームステイをする家にはWi-Fiもあるよ、と言っていたのを思い出した。民族の家でWi-Fi、か。マサイ族もスマートフォンを使うしそれもまた時代なのだろう。

我々が昼食を食べ終えるのを見ると、TEAM黒モン族は売り物を抱えて大挙してやってきた。商魂逞しい彼女達から手提げバッグを購入することにした。やはり品質は高いとは言い難いが、写真も何枚も撮らせてもらったりチップ代わりだ。だが、何人かに世話になったが、結局購入したのは1人からのみ。それについてやはり不満を抱く人が出るのは仕方がない。が、欲しくもない土産物を幾つも買う気にもならなかったので丁重にお断りした。別の旅行者に買ってもらってください。

食事後はラオチャイ村を見学。黒モン族の民族衣装用の織物機も置いてあり、観光システムが出来上がっている。ラオチャイ村の観光を終えると、次のタヴァン村へ向かう。歩いて30分程度の距離だ。登りも下りも坂はなく、ほぼ平行移動なので何の苦労もない。タヴァン村への入り口で赤ザオ族の親子が迎えてくれた。これも同じように後でお土産を売りつけてくるんだろうなぁ。と思ったら案の定。黒モンほど一緒にいた時間は長くなかったし、特に助けてもらったわけでもなかったので何の後ろめたさも感じることなく断った。

バンが待っているポイントまでの距離は意外にあり終盤はガイドのランちゃんが「早く歩いてね、ちょっと急いでね」と急かしていた。食事を終えてからというもの、各自のペースでのんびり観光をしていたのだ。このラオチャイ村とタヴァン村を訪れるルートはサパからのトレッキングツアーではおそらく参加者が最も多いものでそれ故に価格も一番安くなるだろう。棚田も割と見ることができるし、コストパフォーマンスは悪くないのではないだろうか。

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