初っ端から注釈っぽいけど、必ずしもバックパッカーを嫌い
というわけではない。バックパッカー至上主義者が嫌いなんだ。
まずは定義から。
バックパッカーとは…
1.バックパックを背負う人
2.低予算で国外を個人旅行する旅行者
の2つの意味がある。2の場合、大抵の場合は1も兼ねるわけだが。
元々は1960年頃から欧米の若者で流行したスタイル。
ヒッピーとは別物ではあるが、ヒッピー文化の流れを汲む、
くらいには言えるかもしれない。
たとえば、ブータンが外国人の自由旅行を認めておらず
“200ドルルール”を定めているのも、国王がバックパッカーに
国内を荒らされるのを嫌がっているからだ。
そして1日あたり200ドルを支払える“ちゃんとした人”に
来て欲しいから、だという。
で、繰り返すが俺は別にバックパッカースタイルで旅するのが
嫌いなのではない。 むしろ、俺自身バックパックを背負って
安宿に泊まるというスタイルで旅することが多い。
マルタへ行った時は完全に滞在型(出かけても夜には戻っていた)
だったので、バックパッカースタイルにする必要が全くなかったが、
それ以外は移動型の旅行が多いしバックパックの方が便利だからだ。
ただ、できることならスーツケーサーになりたい。
コロコロで済むなら済ませたいのだ。
バックパッカー至上主義者にありがちなツアー利用者をある種下に見る傾向。
これがまず気に入らない。
そもそも旅行は富裕層の娯楽として生まれたもので貧乏旅行が
偉いかと言えば全くそんなことはない。もちろん貧乏旅行を卑下しろ、
と言うものでもないが、至上主義者はツアー利用者を“1人で旅できない人”
という(優越感に満ちた)目で見ることが多い気がするのだ。
あくまで私見。
だけど、ネットを見ているとそう思う。
また、
・どれだけ安く上げるか
・どれだけディープな場所へ行くか
・どれだけ大変なトラブルに見舞われたか
を競うような風潮をそういう人たちからは感じる。
特にどれだけ危険な体験をしたかを自慢する人
ただの馬鹿だろ!
万が一、死に至ったら遺族が遺体を引き取りに行かなければ
ならない。死んでなお、迷惑をかけることになるわけだ。
そうでなくとも、捜索を依頼することになった場合、その
費用を負担しなければならない。もちろん全額自分で負担
なんてできるわけがない。つまり周りの人に迷惑をかける。
誘拐されて政府に身代金でも要求されるような場合、それが
開発援助とかであればともかく、旅行だったらまず“遊び”と
見なされるし、それは間違いないだろう。
遊びをイカン、という気はない。俺にとっても遊びではあるけど
十分に意義のある遊びであり趣味でもある。だけど、外務省の
サイトに書いてあるように、不要不急の用事でなければ行くべき
でない場所に行って事件に巻き込まれたら言い訳できないよ。
よくあるケース。
近距離間の移動に関して飛行機や電車を使ったとする。
その時に「ローカルバスならもっと安く行けるのに」と優越感まじりに
言葉を吐く、というもの。何に重きを置くかは人それぞれ。
いくら安くても汚い環境は嫌だ、という人もいるだろう。
少なくとも十分な資金を持っている者が、安くてもわざわざ不快な
環境に身を置く必要はない。両者に上下関係はない、単に選択の問題だ。
また、ツアー(※)を利用して旅行する者に対して自分で手配
1つできないという目で見る至上主義者も多いが、これもいかがなものか。
※ここでのツアーは現地ツアーではなく日本からのパッケージツアーの意
というのも、手配はできるが、面倒臭いのでツアーを利用するという者も
いるからだ。知人で旅行はいつもツアー利用という人がいるが、仕事が
忙しく手配をしている時間がない、何かトラブルが起きた時に交渉するのも
面倒だから、と言っていた。旅行の時は観光に集中したいのだそうだ。
これも選択の問題だと思う。俺は手配や移動を楽しんでしまうタイプだが、
そういったことを雑用としか感じない人も多いのだ。
ちなみに俺の“バックパッカー度”はそんなに高くない。
というのも比較的“秘境”を好むせいか、公共の交通機関で行けない
ような場所へ行くことが多いからだ。
必然的に現地ツアーを利用することになりがち。
そして特に気になるのが短期バックパッカーのバックパッカー至上主義者。
所謂リーマンパッカーと称される彼らだが、妙にバックパッカースタイルに
こだわる。というよりある種の過剰な自負心がある。
長期旅行者は必然的に安宿を泊まり歩くなどのバックパッカースタイルに
なるのだが、リーマンパッカーはバックパッカーであることへの意識が
強すぎるように思える。
自分自身そうだけど、所詮短期旅行者は長期旅行者と同じようには行動
できないし、同じような問題を抱えることはできない。
反面、お金より時間を優先しなければならない部分がある。
長期旅行者は必然的にお金を優先して行動する必要があるのは理解
できるが、短期旅行者にとっては“バックパッカーごっこ”するより
限られた時間を有効活用することの方が大事なんじゃないかと思うわけだ。
ま、早い話が別にバックパッカーしない人≠できない人、ではないのだと。
おまけ。旅に関して嫌いな言葉。
「あそこはもう発展(観光地化)しちゃったから面白くない」
ある種、ものすごく勝手な言葉だなと。主に発展途上国に対しての言葉だけど
そこに住む人々は大抵そんなに生活に余裕がないケースが多い。当然、生活
の為にはどんどん発展させたいし、観光地化させて収入を得たいわけだ。
自分(旅行者)達は文明の発達した快適な場所で生活しておきながら、旅行
という限られた時間でだけノスタルジックであることを期待し、予想外に発展
あるいは観光地化が進んでいたらガッカリする、ということに身勝手さを
感じるのを禁じえない。
だから俺はバックパッカーが嫌いなんだ
2011年7月17日