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モロッコ幻想紀行【7】 ~マラケシュの熱い夜~

マラケシュ、ベルベル語で「神の国」を意味する。
人口66万人、カサブランカとラバトに次ぐモロッコ第3の都市で
11世紀のムラービト朝時代に都市として整備された。歴史的建造物の
豊富なマラケシュの旧市街は1985年、世界遺産に指定された。
また、ジャマ・エル・フナ広場の文化空間は2009年9月に予定される初の
登録での世界無形遺産への登録が事実上確定している。
フナ広場はマラケシュの最大の見所なのである。いや、見るだけでなく参加
する場であるとも言えるだろう。単なる広場なのだが、たくさんの屋台が
集まり、たくさんの観光客やモロッコ人が集まり、年中お祭り騒ぎをしている
ような場所なのだ。同時にマラケシュメディナ(旧市街)の中心部でもある。
フナ広場を前にした俺はまず宿を確保することを思い出した。
バックパックを降ろさないと身軽に動けない。実はタクシーの中でもう決めていた。
元々はちょっと豪華な「リヤド」と呼ばれるモロッコの民家を改造した宿への
宿泊を予定していたが
1.無駄な出費を強いられたので節約したい
2.リヤドを見て周って選んでいる時間がない
という理由で、フナ広場近くのホテル・アリに決めていた。
ここは、明日からの砂漠ツアーを主催しているImagine Le Voyage社を設立
したホテルなのである。砂漠ツアーを申込みに行く手間も省けるだろう
という計算もあった。
とりあえず安宿街を歩き始めてみたらすぐに見つかった。確かにフナ広場から
すぐだ。立地はものすごく良い。フロントでおばちゃんに今日泊まれるかと
尋ねてみたら「ドミトリー?」と訊かれたので「シングルで」と回答。
今日はパスポート事件があったので静かに心を癒したいのだ。
来年、世界一周に出るとしたら当然ドミトリーへの宿泊がメインになるんだろうな。
空きはあり、B&B(ベッド&ブレックファスト)で150DH(約1,800円)とのこと。
安い!充電できればなんだって良いさ、という心境になっていた。部屋を見せて
くれたら、パッと見てコンセントが見つからなかったが、なんとかなるだろう
というポジティブ思考で宿泊を決めた。シャワーも部屋についているし。
フロントに戻り手続きを済ませた後、尋ねてみた。
「『Sahara Expedition』の砂漠ツアー申し込みたいんだけど、事務所はどこ?」
「ここで申し込めるよ。1泊2日の?2泊3日の?」
日本でネットで調べたら、今はホテルでは直接申し込みできないので事務所へ
連れて行かれそちらで手続きする、という体験談があったが、ホテル・アリで
直接申し込めるようになった(戻った)ようだ。
「2泊3日のメルズーガ行きで。950DHだよね?」
「そう、今950DH支払ってね。」
ということで、申込み完了。今日の宿と明日からの砂漠ツアー申込みが無事に
完了し、ようやく一息つけた。やるべきことを済ませると気が楽になる。
日本人のモロッコ旅行者で砂漠ツアーと言えば、この「Sahara Expedition」か
「モロッコ旅のまよいかた」で有名なksour-voyages社のツアーが有名なのだが
後者は価格が高い。「Sahara Expedition」の4倍もするのだ。
内容について、日本からメールで問い合わせたところ、以下の返信があった。
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According to your e-mail, I propose to you the program of
3 days / 2 nights to the desert, we have availibility on
that you will pay 950 dhs/person, and the program will be as follows:
3days/2nights
First day : Departure from Marrakech at 7:00 am by minibus or 4×4 /
visit to the Kasbah of Ait Benhaddou / Ouarzazate/ Valley of the Roses/
Moroccan dinner and evening at a typical small hotel with
beautiful views of the Dades valley.
Second day : Breakfast at the hotel / Departure for the Todra Gorges/
arrival at Merzouga, with the highest dunes in Morocco/
one and a half hour camel ride at sunset /Berber dinner and sleep
under the stars or in tents at a desert camp.
Third day : Views of sunrise in the desert / Return to Merzouga by camel,
return back to marrakech at 19H30.
3 Days /2 Nights:
2 pax = 1850dh/p
3 pax = 1450dh/p
4 pax = 1150 dh/p
5 pax = 1050dh/p
+ 5 pax = 950dh/p
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砂漠へ行くまでに色々と観光名所に寄るわけだ。モロッコ南部はアクセスも
良くないので、効率良く周るには現地ツアー参加しかない。時間さえあれば
バスを乗り継いで自力で行きたいんだけど。
さて、19時近くとはいえマラケシュはまだ明るい。しかもサマータイム導入の
お陰で日没は21時頃なのだ。バイア宮殿等の見学はできないが、メディナを
ざっと周ることのは可能だ。
マラケシュのメディナからはどことなく東南アジアに近いものを感じた。
とにかく「雑多」と「喧騒」という言葉がよく似合う。そして、車やバイクが
秩序なく走っている。人間はその間をすり抜けて歩く感じ。
メディナを散策し、アグノヴ門、クトゥビアを見て周った。
門の上にはコウノトリが巣食っている。よく見るとあちこちに巣を作っている。
マラケシュはコウノトリがそんなに多いのだろうか。
クトゥビアはマラケシュのシンボル。メディナを歩く時は、これを見て
自分がどこにいるのかを常に確認していた。クトゥビアの裏には庭があり
歩き疲れた時くつろぐにはちょうど良い。
マラケシュの建物はほとんどがピンク色の同じ色をしている。そして入り口は小さい。
入り口が小さいけど、中庭もあって中が広いのはモロッコの家の特徴らしい。
そして再びフナ広場へ。
夜が近づいてきて(既に20時近くなのだがまだ明るい)人がさらに増えている。
歩き疲れたこともあり、フナ広場を一望できる『カフェ・グラシエ』の2階へ入った。
ここも観光客にとっては定番なのだろう、皆テラスからフナ広場の写真を撮っていた。
ほとんどは二人連れかグループの客なのだが、俺と同じく一人客からシャッターを頼まれた。
画面右下に自分の後姿が入るような構図でフナ広場を背景に写真を撮って欲しいのだそうだ。
もちろん快諾。そして俺も同じような構図で撮ってくれ、と頼む。その作品がこれ。
ちょっと俺の姿が大きいが、気にしない。
しばらくカフェでフナ広場を眺めていた。
暗くなるにつれ、フナ広場では屋台が開いていった。
カフェに入ってから1時間近く経った頃、21時頃にようやく日没。
その間、アザーン(礼拝の時間が来た事を告げる朗詠。イスラム教の一日五回の礼拝が
始まる前に、モスクから信徒に礼拝を呼びかける。)も流れた。思ったより音量は小さい。
もっと、耳をつんざくような大音量を予想していた。
それから、カフェを出て広場へ。夜のフナ広場を散策。歩いているだけで声を掛けられる。
例によって「どこから来たの?」とか「ジャポーン!」とか。もちろんほとんどは客引き。
日本人観光客が教えたのでだろう「宮迫です!」と挨拶してきてモロッコ人
には日本の最新のギャグとして「裸で何が悪い!」を教えておいた。
モロッコと言えばオレンジジュースが美味い。と聞いていたので、オレンジジュースの屋台へ
行ってみたら目の前でオレンジを搾ってジュースを作っていた。毎回ポーズを取ってから
搾るのがなんだかパフォーマンスみたいでよろしい。そして、観光客に手渡し、一気に
飲み干す観光客。グラスを返して去っていく観光客。
あれ?お金払わなくていいの?
俺も屋台に近づいてみた。同じように生搾りオレンジジュースを作ってくれた。飲み干す俺。
グラスを返したら屋台のおじさんは笑顔で受け取る。タダみたいだ。なんだか得した気分。
とりあえず夕飯にするか、ということで再び散策。カタツムリの屋台なんかもあるがムリ。
好き嫌いのない俺だけど、あれだけの数のカタツムリを食べる気にはなれない。見た目がムリ。
歩いていると感じの良い客引きがいたので、誘われるままについていく。
席についてメニューを見ると普通のモロッコ料理屋だった。
食べたのは
・モロカンサラダ
・鶏肉のタジン
・ケバブ
で、食後にミントティー。
ミントティーは頼んでないけど、出されてちゃんと請求されていた。
見て周ったけど、観光客向けの屋台と地元民向けの屋台とがある感じ。当然、前者の方が高い。
後者の方はメニューが置いてないけど、美味しいのかな。
観光地の基本だけど、店選びは地元民に人気の店へ行くのが良いね。
フナ広場は日付が過ぎてもこんな感じらしいので、ホテルへ戻って明日からの砂漠
ツアーに備えることとした。充電しなきゃいけないし、精神的に疲れた一日だった
ので休みたい。
部屋に戻って充電をどうするか、と考えたところ客室にラウンジのような場所が
あったので、そこのコンセントを拝借することにした。
時計代わりの携帯とデジカメの充電をしている間、待つしかないのだが、
足元で“動く何か”を発見!
猫だった。母猫が子猫にミルクを与えていた。このホテルは猫を飼っているのか。
明日から砂漠へ向かうぞ。

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