登場人物紹介
今回はグループ旅行となるので初めに登場人物を紹介する。
ショウ:トルクメニスタン旅行の起案者、事前手配を担当。トルクメではヤンギ・カラとダムラ村の訪問を熱望。
ノヴァ兎:トルクメニスタンメンバー、北朝鮮やブータン等の一風変わった国を好み、旅行してきた。トルクメでは首都アシガバードの風変わりな様子に期待。
イースト:トルクメニスタンメンバー、シルクロード好き。4年前、ウエストとシリアで出会う。トルクメではメルブ遺跡を最も楽しみにしている。
ウエスト:トルクメニスタンメンバー、シルクロード好き。4年前、イーストとシリアで出会う。トルクメではガスクレーターを最も楽しみにしている。
ヤム:成田空港で出会った旅人。イーストとは既知の間柄。
ユベントス:成田空港で出会った旅人。ヤムとは既知の間柄。
仕事を片付けて成田空港へ
2014/4/25(金)
「それじゃ、気を付けて行ってきてください。お土産楽しみにしてるから。」
「はい、それでは来週すみませんがお休み頂戴します。」
今回は会社から直接旅立つのだ。業務を終えた俺はトイレに行き、スーツの上着は脱ぎズボンは旅用のものに履き替えた。脱いだスールは紙袋に入れ、職場の自席に置いておく。家に帰らずに旅行へ行くので休み明けに持ち帰る算段だ。靴も革靴から運動靴に履き替える。今日は仕事用の鞄ではなく、愛用しているEagleCleekのスイッチバックとサブバックで出社していた。
実は業務後に直接旅立つのは今回が初めてであった。これは時間を有効活用するには良いのだが、万が一障害など突発的な事態が発生した時に当日出発の航空券が無駄になってしまうのを恐れていたのだ。なので、いつもは連休初日の航空券を買うようにしていた。心配性ここに極まれり、である。
さて、今回は成田を21:20に発つフライトということもあり、時間に余裕がない。空港着が20時10分の予定なのだ。万が一の事を考え、前日にWebチェックインを済ませておいた。他のメンバーは順調だろうか?そう、今回のトルクメニスタン旅行は同行者がいる。基本的には現地集合現地解散なのだが、結果的に往路のフライトが全員成田―アブダビ間は一緒、という結果になってしまったのである。皆、貴重な連休は時間を有効利用したいらしい。
同行メンバーは3人。ノヴァ兎、イースト、ウエストの3人だ。このうち、ノヴァ兎は俺と同様イスタンブールまで行きそこからトルクメニスタン入りする。イースト&ウエストはアブダビで降機し、観光した後ドバイへ移動。ドバイからトルクメニスタン入りするのだ。俺は19時に東京駅を出発し、20時10分に成田空港第一ターミナルに到着する東京シャトルを予約していた。しかし、オバマ米大統領が来日してから首都高が交通規制されると知って動揺した。ただでさえ時間に余裕がないのだ。交通規制に遭ったら搭乗できないかもしれない。が、その心配は杞憂に終わった。オバマ大統領は25日の朝に羽田空港から出国していたのだ。よって既に交通規制もなし。だが、GWの渋滞はないだろうか?別の心配が脳裏にこびりついて離れなかった。
職場から日本橋駅へ向かう途中、首都高の渋滞情報を調べたところ、かなりの範囲で渋滞が発生していた。予想通りだ。ここで成田空港への経路を変更。東京シャトルには乗らずにエアポート快特を利用して成田空港へ行くことにした。浅草線は普段使用する機会が滅多にないのだが、羽田空港と成田空港を繋いでいたり、空港へ向かう時には便利な路線なのである。実は前日、ノヴァ兎からメールが届いていた。業務上のトラブルによりトルクメに行けないかもしれない状況に陥った、という内容。当日の17時頃まで連絡がなかったので駄目なのかと諦めモードだったが、「行ける!」との連絡が入った時は小躍りしたい衝動に駆られた。そのノヴァ兎はどうやら同じ電車に乗っていたようで成田空港到着した時点で合流。結果的に東京シャトルに乗るより早く19時52分に成田空港到着できた。
ウエストは結構早くに会社を脱出できたらしく、19時過ぎには成田空港に到着していたようだった。そしてイーストだが、連絡が来て20時20分頃の到着になるという。しかもWebチェックインをしていないとのこと。Webチェックインをしていなくて1時間前の到着、これは危険だ。ということでチェックインカウンターにいるウエストに電話してチェックインを待っていてもらうよう交渉。面白かったのは、チェックインの担当者がウエストに「もしお待ちのお客様が間に合わなかった場合はお客様(ウエスト)もご旅行を取り止めますか」と訊ねてきたこと。ウエストはもちろん即答したらしい、「いえいえいえ、行きます!」と。これはチェックインカウンターの担当者に親しい関係と思われたのだろうな。
イーストは20時25分頃にチェックインカウンターに到着、無事にチェックインを済ませられた。4人でセキュリティチェックへと向かう。ここでなぜか靴をチェックされた。そんなに臭ったのだろうか?イミグレも問題なく通過。
GWという繁忙期初日の夜行便なのだがイミグレはガラガラだ。成田のこの時間帯は運行便が少ないので、こうなるのだ。深夜便や早朝便が多い羽田空港であれば混んでいるのだろうが、この時間帯の成田出国便を利用することが多く、見慣れた景色だった。ここで、ヘビースモーカーであるノヴァ兎とウエストは免税店でタバコをカートン買いし、ゲートへと向かった。イーストのチェックイン時点で既にフライトの1時間前を切っていたので、セキュリティやイミグレを速やかにに通過したが、ゲートに到着した時にはすぐに搭乗開始の様子であった(既にゲートに列ができていた)。
ここでイーストに近づいて来る人物がいた。ヤムだ。どうやら全くの偶然らしいが、イーストとは予期せぬ再会に盛り上がっていた。何でも夏にアイスランドでレンタカーで周る計画があるらしい。実に素晴らしい。ヤムと一緒にいた男の子(彼の名はユベントス)も一緒にアイスランド周遊を計画しているようだ。俺がアイスランドを周ったのは2012年の夏、長期旅行の中だった。アイスランドは公共の交通機関がフライトかバスのみで本数も少なく、値段も高いのでレンタカーがあると断然効率が良くなる。ということで搭乗前にして旅話に花が咲き、既にハイテンション。珍しく記念撮影などしてみた。
搭乗からイスタンブールまで
このエティハド航空の成田―アブダビ路線は以前にも利用したことがあるが、座席は2-4-2の並び。4の通路側を事前に指定していたが、やはり繁忙期で混み合っていて隣が空席といったことはなかった。隣には日本人夫婦が座っており、トルコへのパッケージツアー(H〇S社)客だった。通路を挟んで反対側は偶然にもユベントスが座っており、旅話で早くも盛り上がった。このユベントス、もうすぐ会社を辞めるのだという。二ヶ月ほど旅行した後、青年海外協力隊の研修が始まり、その後ネパールに着任するのだという。ネパールはまだ未踏の地なので、彼がかの地にいる間に訪れることも考えよう。
前方を見ると、ノヴァ兎とヤムも同様に通路を挟んで隣のようだが、後ろから見る限りノヴァ兎は早々に寝てしまい、ヤムはというと、格闘技の試合がパーソナルモニタでずっと流れていた。格闘技好きなのか?機内食を食べ、ユベントスとの話も一段落した頃、機内が暗くなり就寝モードになったので寝る努力をした。時間を効率的に使える夜行便はよく使うのだが、普段から夜行便ではあまりよく寝られないのである。CAが深夜にスナックを配っていた時もすぐに目が覚めて受け取っていた。機内での睡眠はどうしても浅くなる。今回のように機内泊が多い旅程では体調管理に気を遣う必要がいつも以上にあるのだ。
2014/4/26(土)
再び機内の目が覚めた時には朝食の配布を行っていた。夜食の時もそうだが、今回のフライトでは事前にムスリムミールをリクエストしていた。しかし、ムスリムミールはサーブされず、結局通常メニューから選んだ。特別職はリクエストが通るとは限らないので仕方ない。エティハドの成田路線の機内食は以前乗った時より明らかに不味くなっていたように感じられた。夜食時には気流の悪い場所を飛行していた影響でかなり揺れがあり、食後のドリンクサービスは行われなかった。
アブダビ空港にはやや遅れて到着。離陸が20分程度遅れたので、それがそのまま到着時刻の遅れに繋がったわけだ。しかし、イスタンブール行きフライトまで約5時間のレイオーバーなので、この程度の遅延は何の問題もない。ヤム&ユベントスはヨルダン&イスラエルを旅行するのだが、彼らも乗継までまだ時間に余裕はあり、またアブダビで入国するイースト&ウエストも観光するシェイク・ザイド・モスクがOPENするまでまだ時間があるので、彼らもしばし空港で待ち。よって旅人座談会第二章の幕開けである。しばしの間、情報交換や記念撮影に興じたが、ヤム&ユベントスのアンマンへのフライトが近づいてきたので二人の旅立ちを見送った。
ウエストはトルクメから戻ってからドバイに三日間滞在することもあり、その間にオマーンの飛び地であるムサンダム地方へ行く予定だったが、事前に連絡を取った現地旅行代理店に法外な価格を要求されたので計画が頓挫したままだったそうだ。調べてみたらそこまで日系の旅行会社でもそれほど高くない価格で日帰りツアーが催行されているようだった。ドバイ支店の住所は分からずじまいだったので、他の現地旅行社を含めて探してみるとのことだった。この時、若干不安を覚えた。このままWebサイトから申し込んでしまった方が確実なのではないか、という思いだった。少し早いが搭乗時刻になったのでノヴァ兎とゲートへ向かうことにした。つまり、ここで一旦イースト&ウエストとはお別れ、約24時間後にトルクメのホテルで再会だ。ゲートへ行くとまだオープンしていなかったので、一旦戻ってラウンジで待つことにした。二人ともPriorityPass保持者なのである。以前から愛用していたアブダビのラウンジはリニューアルしたのか内装から大幅に変わっていた。以前はビュッフェスタイルで食べられた料理も今では軽食に変わってしまっている。魅力半減、である。ラウンジ内の電光掲示板で我々の乗る便がBoarding表示になったので、ゲートへ向かう。
ゲートに到着すると、ゲート前のセキュリティには長蛇の列ができていた。セキュリティを問題なく通過し、そのままボーディング。再び2-4-2の並びで今回はYクラスの最前列。前は壁だが足元広々、である。一つ失敗したと感じたのはUSB充電が可能なエティハドの機体では、最前列シートはモニタが横に折り畳まれているタイプなのでUSBポートがついていないのである。ここでスマホを充電しておきたかったが、宿を取っているので大して問題はない。エンターテイメントは成田-アブダビ路線と同じ内容なので、フライト中は寝たり、イスタンブールのガイドブック(るるぶ)を読んだりして過ごしていた。そんなこんなで、イスタンブールはアタチュルク国際空港に到着した。到着時刻は少し遅れて13:30、長い移動を終え、ようやく旅が始まった。