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悠久のコンスタンティノープル

目次

登場人物紹介

ショウ:トルクメニスタン旅行の起案者、事前手配を担当。トルクメではヤンギ・カラとダムラ村の訪問を熱望。

ノヴァ兎:トルクメニスタンメンバー、北朝鮮やブータン等の一風変わった国を好み、旅行してきた。トルクメでは首都アシガバードの風変わりな様子に期待。

イースト:トルクメニスタンメンバー、シルクロード好き。4年前、ウエストとシリアで出会う。トルクメではメルブ遺跡を最も楽しみにしている。

ウエスト:トルクメニスタンメンバー、シルクロード好き。4年前、イーストとシリアで出会う。トルクメではガスクレーターを最も楽しみにしている。

空港から市内へ

空港に降り立った。まずはイミグレを目指す。これからのスケジュールとしては、日付が変わって1:00のフライトでトルクメニスタンへ向かうのだが、体を休める為にイスタンブールの宿を予約していたのだ。半日の利用なので、交渉して半日利用をさせてもらう等も考えたが、その交渉に時間と労力を費やすのも惜しかったので1泊分払うことにした。

イミグレでは何日滞在するか等の質問は一切なし。フリーパスだった。見ている限り、誰も質問をされている様子はなかった。ここのイミグレはおそらく緩いのだろう。続いて預け入れ荷物のピックアップ。こちらも無事にターンテーブルに流れてきた。この時はいつもロストバゲージしていないかとドキドキする。

さて、ここから宿へ向かうわけだが、宿はスルタンメフメト地区(旧市街)で予約していた。アタチュルク空港からの経路としてはメトロとトラムを乗り継いで行くことになる。

【メトロ】アタチュルク空港~ゼイティンヌブルク

【トラム】ゼイティンヌブルク~スルタンアフメト

というルートだ。メトロはともかく、トラムはとにかく混み合う。そもそもが現地の人向けの公共交通機関なので仕方ないのだが、大きな荷物を持っている旅行者にとっては満員電車はなかなかに厳しい。一方で現地人にとっても大きな荷物を持っている旅行者が多数乗ってくると迷惑な存在に思えるのかもしれない。空港から約1時間でスルタンアフメット駅に到着。

目的のIstiklal Hostelは駅を降りてすぐの立地なのである。むしろ立地だけで決めたと言っても過言ではない。なにせ滞在は数時間だけなのだ。宿の入り口は狭く、螺旋状の階段を登っていかなければならないのだ。5階ほど登ってレセプションに辿り着くとスタッフは不在。Wi-Fiで時間を潰しているとすぐにスタッフがやってきてチェックインを済ませた。指定された部屋に行くと何人かベッドに横たわっていた。そのうちの1人は東洋人であった。話しかけてみると、彼も日本人でイスタンブルに何日も滞在しているとのこと。長期旅行者かと思いきや、我々と同じくGWの短期旅行であるとのこと。少し早めに休みに入れたとのこと。互いに自己紹介をして今後の旅の予定も話した。以後、彼をジュンク堂と呼ぶことにする。

ジュンク堂はこの後エジプトへ飛ぶのだそうだ。本当はもっと早くにエジプトへ飛ぶ予定だったそうだが、空港で乗り遅れて荷物だけ先にエジプトへ行ってしまったそうだ。申し訳ないが笑ってしまった。ジュンク堂と話しながら、俺とノヴァ兎はシャワーを浴びることにした。今夜も夜行便に乗るので今浴びておかないと明日の夜までシャワーを浴びられないかもしれないのだ。話が落ちついたところで、ジュンク堂と今夜の夕飯を一緒に食べる約束をした。19時に宿で待ち合わせることにし、俺とノヴァ兎は観光に出かけることにした。

天気は曇天ということもあり、今日はグランドバザールを周ることに。どのみち時間的にもそれくらいしか観光できないだろう。グランドバザールの入り口は歩いていると見つかった。グランドというだけあって中はさすがに広い。事前にジュンク堂から教えてもらった情報では、グランドバザールにて売られている品は偽物が多いので、注意が必要ということだった。グランドバザールに歩いて来るまでに声を掛けてきた人間にも同じことを言われた。このスルタンアフメットは噂に違わず客引きの類がわんさかいる。グランドバザールを1時間程歩いただろうか。物色して周ったが特に欲しいと思うようなものはなかった。トルコ土産で有名な目玉の魔除けは1つ2,000円だという。そんなハズはない! いくらトルコの物価が高いとはいえこれはボッタくりすぎだろう。バザールの中はそんな商品で溢れている。

散策に飽きてきたのでバザールを出た。すると近寄ってきたのは帽子売り。今回、帽子を持ってくるのを忘れた俺はどこかで調達する予定でいた。羊革製のなかなかフィット感の良い帽子だ。価格を訊ねると8ユーロとのこと。おそらくトルクメで購入した方が安いだろうが、気に入ったので購入することにした。それから歩いていたら目に入ったのがトルコアイスの店。所謂ドンドルマである。俺は結構アイスが好きで割と涼しくても買って食べることが多い。アイス屋の兄ちゃんは伸びるアイスを使ってパフォーマンスを見せてくれた。俺にアイスを乗せるコーンを持たせ、そこにアイスを乗せたかと思いきや、アイスを引っこ抜いてコーンだけ手に残るようにしてみせたり、といった塩梅だ。正直、イラッとした。この伸びるアイス、12リラもした。日本円にして600円だ。そしてパフォーマンスを見せた分のチップを欲しいと言う。勝手に自分でやったパフォーマンスにチップを要求するのもなんだかな、と思ったし、別に感心するほどのパフォーマンスでもなかったのだが、仕方ないなぁという気持ちであげることにした。2ユーロか、それにしても高いよな…。有名観光地であることは分かっていたが、イスタンブール、少々観光地化されすぎていないか。

アイスを食べながらアヤ・ソフィアやブルーモスクの方へ歩くことにした。並んで入場する時間はないので今日は散歩に留めることにし、そのままトプカピ宮殿の方まで足を延ばした。もちろん今日は入場しないので、入れる場所だけ歩いてみるのだ。そうこうしているうちに19時15分前になったので、宿に戻ることにした。ジュンク堂を待たせては申し訳ない。仲良くなってはいても初対面であることには変わりないのだ。

宿に戻るとジュンク堂はベッドで待機していた。改めて目当てのレストランを確認。当初は7 Hills Hotelというホテルの屋上にあるレストランが眺めが良いので行こうと話していたのだが、もう一つ事前にチェックしていたAnd Hotelの屋上にあるレストランも眺めが良く、そちらの方が近そうだったので、そっちへ行ってみる事にした。AndHotelはメトロのスルタンアフメット駅からガラタ橋方面に10分程度歩いた所にあった。屋上へと上がると、確かに視界が広く、アヤソフィアやブルーモスクを眺めながら食事ができる環境だった。価格はバックパッカー向けにしては少々高めといったところだが、このレストランでは食事をせずにお茶だけといったことも可能なのだ。よって、節約派もティータイムに行って眺めを楽しむという楽しみ方ができるだろう。けっこうオススメ。

入店時に屋内の席か外の席か訊ねられたのだが、外の席を希望したら「外の席で良いの?寒いと思うけど、後で中の席に移りたいと言っても空きがなかったら無理だからねっ!」と念を押されたことだった。そんなに寒いのだろうか?まぁ、確かに寒い。曇天のせいもあるだろうが、明らかに東京より寒い。ジュンク堂が言うには、昨日までは晴れていたそうだが今朝は雨も降ったのだとか。いずれにしてもわざわざこのレストランに来て屋内席という選択肢はない。そんなに耐えられない程の寒さにはならないだろう。ということで各自スープを頼み、3品程度頼んでシェア。味の方もなかなかであった。入店は19時15分頃だったが1時間も経つ頃にはあたりは暗くなり、アヤソフィアとブルーモスクがライトアップされた。なかなかの景色である。十分に夜景を満喫し、料理に舌鼓を打った後で空港へ戻るスケジュールも考え始めた。

22時には宿を出発する予定だったので、準備の時間を考慮し、21時頃にレストランを出ることにした。面白かったのは、ノヴァ兎はトルコリラ、ジュンク堂はUSドル、そして俺はEUROしか払えるお金を持っていなかったので、ミックスで支払ったことだ。ノヴァ兎の提案「3等分してそれぞれ別通貨で支払いしよう」は却下されるかも、と心配していたが、何のことはない。普通に受け付けてくれた。考えてみれば店側も商売なのだからそれくらいは対応するだろう。ましてや、USドルやEUROをそのまま利用できるイスタンブールなのだから。

宿へ戻って俺とノヴァ兎は出発の支度を開始した。ジュンク堂は4時に空港行きシャトルのピックアップを頼んでいたので早起きしてエジプトへ行くらしい。彼はカイロやルクソールの宿情報を知りたがっていたので、カイロでは節約型旅行者には有名な安宿が入っているビルを教えた。サファリやスルタンやヴェニス細川屋のビルである。話を聞くとバフレイヤオアシスへ一緒に行くツアーメイトを欲しがっていたので、なるべくそういう旅の仲間が見つかりそうなヴェ二細を薦めた。本当ならば色々とトラブルの多いあの宿は避けたいところだったが、比較的短期旅行者が多いヴェ二細が向いていると判断したためだ。ルクソールでは俺も実際に宿泊して快適に過ごせたオアシスホテルを薦めておいた。あそこは屋上からの眺めが良いのだ。ジュンク堂に別れと日本での再会を約束し、出発した。空港から来た道を戻れば良いだけなのだが、ここで一つ落とし穴があった。スルタンアフメット駅でトラムに乗り込もうとしたが乗れそうにないレベルで混み合っていたのだ。「こっちだ!」隣の車両へダッシュするノバ兎。続けて走り出す俺。ところがノヴァ兎が乗ったドアは既に人が沢山乗っていて、大きな荷物を持った俺が乗り込むには厳しいと判断し、一つ奥のドアから乗り込んだ。実はこの判断がこの後ノヴァ兎と俺との運命を分かつことになるとは、この時点では知る由もなかった。

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