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チェコ旅行記【9】 ~再会~

ホテルを出て、街を一通り散策することに。ヴルタヴァ川では
水遊びをしている若者もいた。秋のチェコは朝晩かなり冷えるのだが、
晴れていると昼間の日差しは結構強いのだ。

まずは翌日の帰り(プラハ行き)のバスのチケットを予約しようと
インフォメーションセンターへ。窓口の女性に訊いてみたら時刻表を
見せてくれた。9:50発のバスがあったので、プラハでまだ周っていない
エリアを行脚する時間も考慮し、このバスに乗ることを決めた。
予約したい旨を伝えたところ、必要ないと説明を受けた。直接
バスに乗って運転手から切符を買うのだそうだ。後で調べたのだが
チェコでは一般的に、切符は乗車時に運転手に行き先を告げて購入するのだ
という。さらにチェスキー・ブディヨヴィツェで乗換えが必要なことも
教えてもらった。お礼を言ってインフォメーションセンターを後にした。

インフォーメーションセンターは街の中心地であるスヴォルノスティ広場
の一角にあるのだが、すれ違いざまに日本人の男女が通った。その時
「思ってたよりチェコって都会だね」
「なんかさぁ、ニューヨークに似てる感じがする」
という会話が聞こえた。旅好きはいろいろな土地を旅しているものだな。
少し羨ましく感じた。俺もまだまだ行きたくて行ってない土地が沢山ある。
行きたい、だけじゃ駄目なんだ。今回みたいに行動に移さないと。

スヴォルノスティ広場を後にしてヴルタヴァ川沿いに歩いてみた。
川辺で水遊びをしている若者や大きな歓声をあげている中国人旅行者。
皆、それぞれにバカンスを楽しんでいるのだな。そのまま川辺を進み
街の入り口へ戻った。改めて街を一望した。先ほどの城の塔からの
景色とはまた違った景観、クルムロフ城とそれを囲むように作られた
街並みが美しい。城からの眺めと街の入り口からの眺めだと、見る視線
が変わることを感じた。何を見るか、も大事だが、どこからどう見るか
で同じものが全く変わって見えるのが面白い。

街の入り口から再びホテルまでの道を歩いていた時、見覚えのある人が
目に入った。3日前、オーストリア空港のチェコ行き飛行機を待っている間に
話をした若い姉妹、彼女達であった。こちらに気づいていないようだったので
おもむろに近づいて行き、声を掛けるとこちらを見てびっくりしていた。
同じ時期にチェコ入りしたので、プラハやチェスキークルムロフのどこか
で会うかもしれないと思っていたものの、実際にバッタリ会うと驚いた
のは俺も同じであった。チェコ入りしてからどう周ったか、移動はどう
したか、チェコの感想などをお互いに話した。ドレスデンへ行ったことを
話すと「行動派ですね」と驚いていたっけ。そしてチェスキー・クルムロフ
での宿泊が同じホテルであることが判明し、さらに驚いた。いつの間にか
古い友に再会したような感覚になっていた。僅か数日前にチェコ入りし、
その時に少し話をしただけだったというのに。これだから旅は面白い。

昼にプラハを発って到着したばかりだという彼女達は少し街を周るそう
なので、別れて俺はホテルへ戻った。部屋へ戻り、窓の外を眺めると
景色は夕暮れとなっていた。再び小一時間ほど休憩し、20時頃に夕食を
摂るため、外へ出た。陽が落ちるとやはり冷たい風が身に沁みた。
プラハよりも涼しいのではないだろうか。

夕食は、何軒か周った中で気に入ったヴルタヴァ川沿いのオープンテラスの
レストランを選択。夜のチェスキー・クルムロフ城はライトアップされていて
中世を感じるには十分の趣であった。そんな風景を楽しみながらの食事は
料理の方も満足。まず飲み物は当然ピルスナービールを注文。料理は
・スープ(ヌードル入り)
・サラダ(大皿)
・ステーキ+付け合せ
まったくチェコに来てからというもの肉ばかり食べているな。
肉料理が主体の国なので仕方ないと言えば仕方ないのだが、なかなかに
俺の口に合うのも事実なので、大いに食欲を掻き立てられるのである。
まったく以って罪な国だ、この俺を太らそうとするとは。

食事を終えた俺はホテルに戻り、ゆっくり過ごした。前日・前々日は
シャワーだけで済ませたので湯船を満喫。最終日は朝起きたら空港へ
向かうだけなので、明日が事実上のチェコ最後の日なんだなぁ、などと
考えていたら日本へ帰るのが勿体無く思えてきた。入国直後は分からない
言葉だらけで少し心細い気にもなったが、すぐにこの国に慣れ、今では
永住しても良いな、と思える程になっている自分に少し驚いた。日本で
感じる寂しさをこの国ではなぜか感じていないことに気がついた。

「今いる場所」が自分にとっての「いるべき場所」であるか、それは
分からない。しかし、「いるべき場所」を見つけたのならそこへ行く
ことが最良ではないだろうか、そんな事を考えていた。

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